こんにちは、公認会計士のSatoです。
「簿記3級のネット試験、申込みはしたけど…」
「初めての会場、初めてのPC操作で、何が起こるか分からなくて怖い」
「持ち物や時間配分で失敗したらどうしよう…」
そんな不安を抱えていませんか?
簿記3級の学習を頑張ってきたのに、試験当日の「やり方」が分からなかったせいで実力が出し切れないのは、本当にもったいないことです。
でも、安心してください。
この記事では、公認会計士であり、多くの受験生を指導してきた私(CBT方式=ネット試験の特性も熟知しています)が、あなたの不安を「自信」に変えるお手伝いをします。
この記事を最後まで読めば、試験当日の朝に家を出てから、試験会場で「合格」の2文字を見るまでの流れが、まるで動画のようにシミュレーションできるはずです。
PC操作の具体的な手順から、合否を分ける「時間配分」の戦略まで、私の経験を交えて徹底的に解説します。
簿記3級最短合格シリーズについて、これまでに記載した記事はこちらになります。
- 簿記3級最短合格(1)簿記3級は意味がないのか?簿記が人生を変える本当の価値を公認会計士が解説
- 簿記3級最短合格(2)【最新版】簿記3級の出題傾向を会計士が徹底解説!合格への最短ルート
- 簿記3級最短合格(3)【簿記の最重要関門】仕訳の基本ルールを完全攻略!初心者でもわかる借方・貸方の覚え方と書き方
- 簿記3級最短合格(4)【公認会計士が徹底解説】売掛金・未収入金・買掛金・未払金の違いとは?|簿記3級の頻出論点を完全マスター
- 簿記3級最短合格(5)【公認会計士が徹底解説】損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の読み方・作り方がスッキリわかる!
- 簿記3級最短合格(6)【完全網羅】簿記3級の決算整理仕訳 全8パターンを徹底解説!初心者でもスッキリわかる具体例つき
- 簿記3級最短合格(7)簿記3級第2問対策!勘定記入・補助簿・伝票を会計士が図解記入と補助簿を公認会計士が図解
- 簿記3級最短合格(8)簿記3級ネット試験の完全ガイド!当日の流れとPC操作・時間配分を公認会計士が体験レポ
- 簿記3級最短合格(9)簿記3級合格で満足はNG!知識を錆びさせずキャリアに繋げる5つのアクション
- 簿記3級最短合格(10)簿記3級は意味ない?公認会計士が教える年収UPキャリア戦略
目次
簿記3級ネット試験(CBT方式)とは? まずは基本をおさらい
まずは、あなたが受験する「ネット試験(CBT方式)」が、従来の「統一試験(ペーパー試験)」と何が違うのか、基本を整理しておきましょう。
ネット試験と統一試験(ペーパー試験)の決定的な違い
一番気になるポイントを表にまとめました。
| 比較ポイント | ネット試験(CBT方式) | 統一試験(ペーパー試験) |
| 試験日 | ほぼ毎日(テストセンターの空き次第) | 年3回(6月、11月、2月) |
| 試験会場 | 全国のテストセンター | 商工会議所が指定する大学など |
| 申込方法 | インターネット(専用サイトから) | インターネットまたは窓口 |
| 合否発表 | 試験終了後、即時 | 約2~3週間後 |
| 合格証 | デジタル合格証 | カード型合格証 |
| 試験内容 | 第1問~第3問(内容は同じ) | 第1問~第3問(内容は同じ) |
最大のポイントは、「試験内容(出題範囲)はネットもペーパーも同じ」ということです。
ですから、あなたがこれまでテキストや問題集で勉強してきたことは、何一つ無駄になりません。変わるのは、解答を「紙に書く」か「PCに入力するか」という、アウトプットの方法だけです。
ネット試験を圧倒的におすすめする理由
私は、簿記3級の受験生には、特別な事情がない限り「ネット試験」を強くおすすめしています。理由は以下の2点です。
- 即時性(すぐに合否がわかる)ペーパー試験のように、合否発表まで数週間もモヤモヤしながら待つ必要がありません。試験終了の瞬間に結果が分かり、すぐに次のステップ(2級の勉強、就職活動など)に進めます。
- 柔軟性(いつでも受けられる)これが最大のメリットです。ペーパー試験は年3回しかなく、「試験日」に自分の学習のピークを合わせる必要がありました。しかしネット試験なら、「よし、仕上がった!」という自分のベストなタイミングで受験日を予約できます。
「試験に自分を合わせる」のではなく、「自分の実力に試験日を合わせられる」。これがネット試験の最大の強みなのです。
試験【前日】までに絶対確認すべき持ち物リスト
ネット試験は、持ち物が非常に厳格に決められています。
最悪の場合、「忘れ物をした」というだけで、受験できずに帰宅…となってしまいます。前日までに必ずカバンに入れておきましょう。
必須の持ち物はこの2点だけ!
ネット試験の必須の持ち物は、驚くほどシンプルです。
「身分証明書」と「電卓」、原則この2点だけです。
「えっ、鉛筆や消しゴムは?」と不安に思った方、大丈夫です。
計算に必要な筆記用具(ボールペン)や計算用紙(A4の白紙など)は、すべて試験会場に用意されています。不正防止のため、私物の筆記用具は持ち込めないルールになっています。
逆に言えば、この必須の2点のうち1点でも忘れると、その時点で受験は「即終了」となります。
落とし穴①:身分証明書の「顔写真・氏名・生年月日」
「身分証明書なら何でもいい」わけではありません。
以下の条件を満たす「有効期限内の原本」が必要です。
- 氏名
- 生年月日
- 顔写真
これらがすべて揃っている必要があります。
【認められる身分証明書(例)】
- 運転免許証
- マイナンバーカード(通知カードは不可)
- パスポート
- 顔写真付きの学生証・社員証
【注意が必要な身分証明書(例)】
- 2020年2月以降に発行されたパスポート:これには住所欄がないため、本人確認書類として認められない(他の書類の提示を求められる)可能性があります。避けるのが無難です。
- 顔写真のない学生証・健康保険証:これら1点だけでは認められません。
会場によってルールが微妙に異なる可能性もゼロではありません。
必ず、ご自身が受験するテストセンターの公式サイト、または日本商工会議所(CBTS受験サポートセンター)の公式サイトで、有効な身分証明書の一覧を最終確認してください。
落とし穴②:その電卓、使えません!持ち込み禁止の電卓
「愛用の電卓を持っていこう」…ちょっと待ってください!
その電卓、試験で使えない「禁止電卓」かもしれません。
1や3に基づき、OKな電卓とNGな電卓をまとめました。
| 持ち込みOKな電卓(例) | 持ち込みNGな電卓(例) |
| 一般的な計算機能(+、-、×、÷、√、%) | 関数電卓 |
| メモリ機能(M+, M-, MR, MC) | プログラム機能 |
| 定数計算、日数計算、時間計算、税計算機能 | 売価・原価計算機能 |
| 12桁表示のもの(推奨) | 辞書機能、スマホの電卓 |
| (推奨)静音タイプのもの | 金融電卓 |
一番の落とし穴は、3にある「売価・原価計算機能」です。
簿記の学習用に市販されている電卓の中には、この機能が搭載されているものがあります。これが「プログラム機能」とみなされ、使用不可となるリスクがあります。
ご自身の電卓の型番をネットで検索し、「関数電卓ではないか」「プログラム機能はないか」を必ず確認してください。
(不安な方は、1,000円程度で買える「税計算」と「メモリ機能」だけのシンプルな電卓を予備で持っていくと安心です。)
「持ち物」に関するよくある疑問(Q&A形式)
筆記用具と計算用紙は?
会場で貸与されます。通常、A4の白紙(裏紙の場合も)が2~3枚と、消せないボールペン(黒)が1本です。持ち込みは一切できません。
腕時計は持ち込める?
Apple Watchなどの通信機能があるもの、音が出るものはNGです。時計機能だけのシンプルな腕時計であれば、持ち込みを許可される場合が多いですが、これも会場の判断によります。机の上に置くよう指示されることもあります。
必須の持ち物(身分証・電卓)を忘れたら?
残念ながら、その時点で受験資格を失い、受験料も返金されない可能性が極めて高いです。それほど「持ち物」は重要です。家を出る前に、玄関で「ID、ヨシ!」「電卓、ヨシ!」と指差し確認するクセをつけましょう。
【体験レポ】試験当日の流れを完全シミュレーション(受付〜入室)
さあ、ここからは試験当日の流れを、私の体験談を交えて具体的にシミュレーションしていきます。
STEP1:試験会場への到着(何分前に行くべき?)
試験開始の「30分前~15分前」には到着しましょう。
CBT試験は時間厳守です。ペーパー試験のように「遅刻しても途中から受験」は原則できません。受付が間に合わなかった時点で「欠席」扱いになることもあります。
(私の体験談)
私はいつも30分前には到着します。会場の場所(ビルの何階か)を確認し、先にお手洗いを済ませます。その後、ビルのロビーなどで、持参した要点まとめノート(仕訳パターン集など)を開き、最後の10分間で最終確認を行います。この「最後の詰め込み」が意外と本番で役立ちます。
STEP2:受付での手続き
テストセンター(小さなオフィスのような場所が多いです)に入室し、受付カウンターで「〇〇時から簿記3級で予約している、〇〇(氏名)です」と名乗ります。
ここから、2にあるような厳格な本人確認が始まります。
- 身分証明書の提示:持参した身分証明書(運転免許証など)を提示します。
- 本人確認(マスク):試験官から「本人確認のため、マスクを一度外してください」と指示されます。身分証の写真と顔を照合されます。
- 電卓のチェック:「使用される電卓を拝見します」と言われます。電卓の裏側や、カバーの裏にメモ書きなどがないか、細かくチェックされます。(ここで先ほどの「禁止電卓」と判断されると、持ち込みができません)
不正防止や厳格なチェックからも分かる通り、テストセンターは大学の試験とは比べ物にならないほど、ピリッとした厳格な空気が流れています。この雰囲気にのまれないよう、「こういうものだ」と心の準備をしておきましょう。
STEP3:試験ブースへの入室と準備
受付で「〇番のロッカーに荷物を預けて、こちらのブースにお座りください」と指示されます。
- 荷物をロッカーへ:以下のもの以外は、すべてロッカーに預けます。
- スマホ(必ず電源OFF。マナーモードも不可)
- カバン
- 上着
- 参考書、ノート類
- 財布
- (許可されなかった)腕時計
- 試験室(ブース)へ持ち込むもの:ブースに持ち込めるのは、以下のものだけです。
- 身分証明書(机の上に置くよう指示されます)
- 許可された電卓
- (許可された場合)腕時計
- ロッカーの鍵
- 着席と準備:ブースは、隣と仕切られた「自習室」のようになっています。着席すると、机の上にはPCと、貸与される「計算用紙(A4白紙数枚)」と「ボールペン」が置かれています。
(公認会計士からのアドバイス)
入室時に試験官に「計算用紙が足りなくなったら、手を挙げれば追加でもらえますか?」と一言確認しておくと、安心して試験に臨めます(通常はもらえます)。
最重要!ネット試験のPC操作方法と解答のコツ
いよいよ試験開始です。
「PC操作が難しそう…」という不安は、ここで完全に解消しましょう。安心してください、やることは主に「プルダウン選択」と「数字入力」だけです。
ログインと試験開始までの流れ
試験官の「時間になりましたので、始めてください」という合図で、一斉にスタートします(または個別にスタートします)。
- ログイン:画面の指示に従い、受付で渡された紙に記載されているIDやパスワードを入力します。
- チュートリアル(操作説明):(ここが超重要!)試験開始の前に、必ず「操作説明のチュートリアル」画面が表示されます。ここでは、解答の仕方(クリック、プルダウン)、次の問題への進み方、電卓の使い方(画面上の電卓機能※)、見直しフラグ(後で確認したい問題に印をつける機能)の付け方などが説明されます。
(私の体験談)
験時間に焦って、このチュートリアルを「読み飛ばす」のだけは絶対にやめてください。ここで5分使ってもいいので、操作方法を完璧にマスターしてから「試験開始」ボタンを押してください。
なお、持ち込んだ電卓とは別に、PC画面上に電卓機能が表示されることもありますが、非常に使いにくいため、必ず持参した電卓を使用してください。
第1問(仕訳問題)のPC操作と攻略法
第1問は配点45点(15問)の仕訳問題です。ここで満点近く取り、かつ時間を使いすぎないことが合格の最大のカギです。
具体的なPC操作を、仕訳例でシミュレーションしてみましょう。
【仕訳例でシミュレーション】
例題:「事務用の切手84円分を現金で購入し、ただちに費用として処理した。」
1. 思考プロセス(あなたの頭の中)
- 切手を買った(費用)→ 勘定科目は「通信費」だな。
- 費用が発生したから「借方(ひだり)」が通信費。
- 現金で払った(資産)→ 「現金」が減ったな。
- 資産が減ったから「貸方(みぎ)」が現金。
- (借)通信費 84 / (貸)現金 84(ここまでを手元の計算用紙にメモしてもOKです)
2. PCでの操作(ここが重要!)
- 画面左側(借方)にある「勘定科目」の欄(空白になっています)をクリックします。
- すると、「勘定科目のプルダウン(ドロップダウン)リスト」がズラッと表示されます。
- このリストは、キーボードで「つ」と打てば「通信費」に飛ぶ…といった検索機能はない場合がほとんどです。マウスのスクロールバーを動かして、「あ行」「か行」…と目視で「通信費」を探します。
- 「通信費」を見つけたら、それをクリックして選択します。
- その横の「金額」欄に、キーボード(テンキー推奨)で、半角で「84」と入力します。(「,」(カンマ)や「円」マークの入力は不要です)
- 画面右側(貸方)も同様に、勘定科目リストから「現金」を選択し、金額欄に「84」と入力します。
- 入力内容を確認し、「次の問題へ」ボタンを押します。
(簿記3級受験生への重要ポイント)
使用する勘定科目は決められており、これは、「プルダウンリストに表示される勘定科目 以外 は使えない」という意味です。
例えば、あなたが「消耗品費」で処理したいと思っても、リストに「消耗品費」がなく、「通信費」しかなければ、「通信費」を選ぶのが正解となります。この「与えられた選択肢から選ぶ」感覚に慣れることが重要です。
第2問(補助簿・勘定記入)のPC操作
第2問(配点20点)は、補助簿(商品有高帳など)や勘定記入の問題です。
ここでのPC操作は、さらにシンプルです。
- 空欄に当てはまる「勘定科目」をプルダウンから選ぶ。
- 計算した「金額」を数字で入力する。
- 当てはまる「記号(ア、イ、ウ…)」を選択肢から選ぶ。
第1問の操作ができれば、問題なく対応できます。
第3問(精算表・財務諸表)のPC操作
第3問は配点35点の総合問題(精算表や損益計算書・貸借対照表の作成)です。
一見、画面が複雑でPC操作が大変そうに見えますが、合格者は皆、ある「コツ」を使っています。それは、「PC画面だけで完結させようとしない」ことです。
【第3問の最強攻略ステップ】
STEP 1:【手元の計算用紙】に「決算整理仕訳」を全部書き出す。
- PC画面には「問題文(決算整理前残高試算表)」と「解答欄(精算表のフォームなど)」が表示されます。
- まず、問題文の「決算整理事項」を1から順番に読みます。
- 読んだそばから、必要な「決算整理仕訳」を、すべて手元の計算用紙にボールペンで書き出します。(この時点ではPCはほぼ触りません)
- (例)「売掛金の期末残高50,000円に対し、2%の貸倒引当金を設定する(差額補充法)。なお、貸倒引当金の残高は300円である」
- (手元の紙での計算)
- 必要な引当金:50,000 × 2% = 1,000円
- 現在の残高: 300円
- 差額(繰入額): 1,000 - 300 = 700円
- (仕訳)(借) 貸倒引当金繰入 700 / (貸) 貸倒引当金 700
- (手元の紙での計算)
- この作業を、すべての決算整理事項について行います。
STEP 2:【PC】に、書き出した仕訳を転記する。
- 精算表の「修正記入」欄や、第1問のような仕訳入力欄に、STEP1で計算用紙に書いた仕訳を、淡々とPCに入力(プルダウン選択&数字入力)していきます。
STEP 3:【電卓】で集計し、【PC】の最終解答欄を埋める。
- 最後に、PC画面上の「決算整理前残高」と、いま入力した「修正記入(STEP2)」を、持参した電卓で合算・集計します。
- (例:現金)
- 前残高 10,000 + 修正借方 0 - 修正貸方 84 = P/L欄 0 , B/S欄 9,916
- この電卓で出した答えを、PCの「損益計算書」や「貸借対照表」の欄に数字入力していきます。
(簿記3級受験生への重要ポイント)
第3問は「PC操作」の試験ではなく、「手元の計算用紙での集計作業」と「電卓を打つスピードと正確性」が問われる試験です。PC画面はあくまで「問題の表示」と「最後の答えの入力場所」と考えましょう。
なお、これら第1問から第3問までの出題形式や、使用が認められる勘定科目の範囲は、試験の公式なルールである日本商工会議所の「商工会議所簿記検定試験出題区分表」によって厳密に定められています。 (参照元:日本商工会議所 公式サイト)
合否を分ける!公認会計士が教える「60分間の時間配分」戦略
ネット試験は60分の一本勝負です。
70点を取るために、どの問題に何分かけるか?この「時間配分戦略」が、知識と同じくらい重要になります。
簿記3級の試験構成と配点
まずは、試験の全体像を再確認しましょう。
| 大問 | 内容 | 配点 |
| 第1問 | 仕訳問題(15問) | 45点 |
| 第2問 | 補助簿・勘定記入など | 20点 |
| 第3問 | 精算表・財務諸表など | 35点 |
| 合計 | 100点 |
合格ライン:70点以上
(推奨)「解く順番」と時間配分
満点を狙う必要はありません。確実に70点を確保するための、最も効率的な「解く順番」と「時間配分」を伝授します。
【推奨の解く順番】
第1問 → 第3問 → 第2問
【推奨の時間配分モデル(合計60分)】
| 解く順番 | 大問 | 推奨時間 |
| 1番目 | 第1問(仕訳) | 15分 (1問1分ペース) |
| 2番目 | 第3問(精算表) | 30分 (じっくり) |
| 3番目 | 第2問(補助簿) | 10分 (残った時間で) |
| 4番目 | 見直し | 5分 (フラグを立てた問題) |
| 合計 | 60分 |
なぜ第2問を「後回し」にするのか?
この戦略のキモは、「第2問(配点20点)を最後に回す」ことです。
これには明確な戦略的理由があります。
1の配点を見ると、第1問(45点)と第3問(35点)だけで、合計80点あります。
この2つの大問は、基本的な仕訳と集計(決算整理)ができれば、比較的安定して高得点(例えば8割=64点)が狙えます。
一方、第2問(20点)は、問題のパターンが非常に多様です。簡単な穴埋めの時もあれば、受験生が全く慣れていない補助簿(例:小口現金出納帳)の作成など、非常に難解で時間がかかる問題(いわゆる「捨て問」)が出題されることがあります。
簿記試験で最も多い不合格パターンは、
「第2問の難問にハマってしまい、15分も20分も時間を浪費した。その結果、配点が35点もある第3問を解く時間がなくなり、焦ってミスを連発。合計65点で不合格…」
というものです。
(簿記3級受験生への重要ポイント)
我々の目標は70点です。
まず、配点が高く得点しやすい第1問と第3問(合計80点分)に、試験時間の75%(45分)を投入し、ここで合格点の土台(例:64点)を作ります。
そして、残った時間(10分)で、第2問の解けるところ(例えば半分=10点)を着実に取りにいく。
これで「64 + 10 = 74点」となり、余裕を持って合格できます。
これが、運に左右されず、実力で70点をもぎ取るための「合格戦略」です。
試験終了から合否発表まで
60分間の試験時間が終わった後、何が起こるのでしょうか。
「試験終了」ボタンを押したら…
試験時間が60分経過すると、強制的に試験終了となります。
もし時間内に解き終わり、見直しも済んだ場合は、自分で「試験終了」ボタンを押すことができます。
この「試験終了」ボタンを押した(または時間切れになった)瞬間が、ネット試験で一番、心臓に悪い瞬間です。
画面が真っ白になり、ローディング中を示すマークがクルクルと回ります。
体感時間で5秒~10秒ほどでしょうか。
そして…
画面が切り替わり、
「あなたの得点: 〇〇点」
と、即座に点数が表示されます。
70点以上であれば、同時に「合格」の文字が表示されます。
合格したらどうなる?「デジタル合格証」の取得
合格すると、試験会場の受付で「スコアレポート」という紙がもらえます。これにあなたの点数が記載されています(合格証そのものではありません)。
正式な「合格証」は、紙では発行されません。
後日(通常は数日後)、試験申込み時に登録した日本商工会議所の「My Page」 にログインすると、「デジタル合格証」がダウンロードできるようになっています。
履歴書などに記載する際は、このデジタル合格証が正式な証明となります。
もし不合格だったら…
もし、画面に表示された点数が69点以下だったら…。
まず、60分間戦い抜いたご自身をねぎらってください。本当にお疲れ様でした。
ここで落ち込む必要は全くありません。
ネット試験の素晴らしい点は、ペーパー試験と違い、「あと何点だったのか」「どのセクション(大問)が弱かったのか」が点数で明確にわかることです。
「第1問は満点だったけど、第3問の集計ミスが多かったな」
「やっぱり第2問の対策が足りなかった」
このように、自分の弱点が具体的にわかります。
そして何より、マイページから、「すぐに次の試験を予約できる」のです。
弱点(例えば第3問の決算整理)だけをピンポイントで復習し、1週間後に再チャレンジして合格する、ということが可能なのがネット試験です。
不合格は「失敗」ではなく、合格に必要な「データ」を得られただけです。すぐに切り替えて、次の予約を入れましょう。
もし独学での学習に限界を感じたり、どの論点が苦手なのか分からない場合は、一度プロの指導を受けてみるのも最短合格への近道です。無料体験ができる講座も多いので、検討してみてはいかがでしょうか。
(まとめ)ネット試験は「慣れ」が全て!安心して受験してください
最後に、簿記3級ネット試験の当日の流れと攻略法をまとめます。
- 持ち物: 必須は「身分証」と「電卓」だけ。忘れると受験できません。
- 筆記用具: 会場で「ボールペン」と「計算用紙」が貸与されます。
- PC操作: 「プルダウン選択」と「数字入力」が基本。第3問は「手元の計算用紙」が主役です。
- 時間配分: 合格戦略は「第1問(15分) → 第3問(30分) → 第2問(10分)」の順番で解くこと。
- 合否: 試験終了と同時に、その場でわかります。
簿記3級は、正しい努力をすれば必ず受かる試験です。
特にネット試験は、操作方法と時間配分という「ルール」さえ知っていれば、ペーパー試験よりも格段に合格しやすい、非常に合理的な試験制度です。
この記事をここまで読んでくださったあなたは、もう当日の流れを完璧にシミュレーションできました。「何をすればいいか分からない」という不安は、もうないはずです。
あとは、自信を持って、使い慣れた電卓と身分証明書を握りしめて会場に向かうだけです。
あなたの合格を心から応援しています!
次回は、「簿記3級をキャリアにつなげるアクションプラン」について詳しく解説していきます。ぜひ、そちらもご覧ください。
無事に簿記3級に合格された皆さん、おめでとうございます! その資格を活かして、経理や会計事務所へのキャリアアップを目指してみませんか?簿記3級の知識は、実務で大きな武器になります。
よくある質問(Q&A)
ネット試験とペーパー試験(統一試験)は、どちらが難しいですか?
試験範囲や難易度は同じです。ただし、ネット試験は「PC操作(プルダウン選択)」に慣れる必要がありますが、合格率(直近)はペーパー試験より高い傾向にあります。これは、①自分のタイミングで受験できる、②不合格でもすぐに再挑戦できるため、受験生の仕上がりが良いためと考えられます。PC操作に不安がなければ、ネット試験をおすすめします。
計算用紙はボールペン貸与とのことですが、間違えたらどうするのですか?
貸与されるボールペンは、残念ながら「消せるタイプ(フリクションなど)」ではありません。そのため、間違えた場合は、二重線で消して書き直すことになります。計算用紙のスペースは限られているため、第3問の集計などは、なるべく整理して書く練習をしておくと良いでしょう。用紙が足りなくなった場合は、手を挙げれば追加でもらえることがほとんどです。
第1問の仕訳で、勘定科目のプルダウンリストが多すぎて探せません。
はい、これは「ネット試験あるある」です。勘定科目は基本的に五十音順に並んでいますが、スクロールで探すのは時間がかかります。ただし、出題される勘定科目は、日本商工会議所の「出題区分表」で決まっています。よく使う「現金」「売掛金」「買掛金」「売上」「仕入」などが、どのあたりにあるか、事前に市販のネット試験対策ソフトなどで操作に慣れておくと、本番での時間短縮に直結します。
電卓を2台持ち込むことはできますか?
はい、試験で使用が認められている電卓であれば、予備として2台目を持ち込むことを許可している会場が多いです。本番でまさかの「電池切れ」や「故障」に見舞われるリスクを考えると、特に古い電卓を使っている方は、予備の電卓(または予備の電池)を持っていくと安心です。ただし、これも会場ルールによりますので、受付でのチェック時に確認してください。
試験時間が余った場合、途中退出はできますか?
はい、可能です。すべての問題を解き終わり、「試験終了」ボタンを押せば、その時点で試験は終了し、すぐに採点結果(合否)が表示されます。早く終わったからといって、点数が加点・減点されることはありません。ただし、一度「試験終了」ボタンを押すと、二度と問題に戻ることはできませんので、「見直しフラグ」をつけた問題がないか、入力ミスがないか(特に第3問の集計)を最低1周は確認してから退出することをおすすめします。
数ある簿記専門学校、転職エージェントの中からいくつかご紹介致します。キャリアアップの参考としてください。
簿記資格の老舗予備校であり、資格指導歴は30年以上に及び、数多くの合格者を輩出してきた確かな実績があります。各資格に特化した講師陣が集まっていますので、講義の品質だけでなくサポート制度にも期待できます。
長年の蓄積されたノウハウを活用した専門性の高いテキストと、わかりやすい講師の解説に定評があり、Webでの受講だけでなく、質問しやすい環境や、進捗を管理してくれるサポートが充実しています。
困ったときに専門講師へすぐ質問できる、どのような人でも簿記資格の取得を挫折することがないようにサポートする専門学校です。
資格受験指導歴50年以上の歴史と実績のあるWeb通信専門スクールであり、特に忙しい社会人や、費用を抑えつつ質の高い講義を受けたいと考えている人にとって、非常に魅力的な選択肢と言えます。
会計、税務、経理・財務のキャリアアップをご検討されている方におすすめのエージェントです。
IPO前企業・有名ベンチャー・上場企業管理部へのキャリアアップをご検討されている方におすすめのエージェントです。
会計、税務、経理・財務分野へのキャリアアップをご検討されている方におすすめのエージェントです。