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簿記3級最短合格(7)簿記3級第2問対策!勘定記入・補助簿・伝票を会計士が図解

Sato|元・大手監査法人公認会計士が教える会計実務!

Sato|公認会計士| あずさ監査法人、税理士法人、コンサルファームを経て独立。 IPO支援・M&Aを専門とし、企業の成長を財務面からサポート。 このブログでは、実務に役立つ会計・税務・株式投資のノウハウを分かりやすく解説しています。

こんな方におすすめ

  • 簿記3級の第2問で点が取れない方
  • 勘定記入(T勘定)の転記が苦手な方
  • 補助簿の種類と選び方がわからない方
  • 伝票の起票(書き方)がわからない方

こんにちは。公認会計士のSatoです。簿記3級の勉強、順調に進んでいますか?

多くの受験生が、第1問の「仕訳問題」や第3問の「決算書作成」に力を入れる一方で、第2問を「どう対策したらいいか分からない」「配点も高くないし、捨ててもいいかな?」と悩んでいるケースをよく見かけます。

もしあなたがそう思っているなら、非常にもったいない!

実は、第2問は簿記3級合格の「隠れたカギ」を握る超重要論点です。

この記事では、公認会計士である私が、簿記3級の第2問で問われる「勘定記入」「伝票記入」「補助簿」について、初心者の方でも100%理解できるように図解や設例をたっぷり使って徹底解説します。

この記事を読めば、第2問が「捨て問」から「得点源」に変わるはずです。

目次

簿記3級「第2問」を捨ててはいけない理由【配点20点の重要性】

まず、なぜ第2問がそれほど重要なのか、その理由からお話しします。

第2問の出題傾向:何を問われるのか?

ご存知の通り、日商簿記3級の配点は、第1問(仕訳問題)が45点、第2問が20点、第3問(決算書作成など)が35点です。

大問内容配点
第1問仕訳問題(15問)45点
第2問勘定記入、伝票記入、補助簿選択など20点
第3問決算書作成(決算整理後残高試算表など)35点
合計100点

第2問(20点)は、第1問(45点)に比べると配点が低く見えるため、「対策を後回しにしよう」と考えてしまう受験生の気持ちも分かります。

この第2問では、主に以下の3つのタイプの問題が出題されます。

  1. 勘定記入(かんじょうきにゅう):いくつかの取引の資料が与えられ、特定の勘定(T勘定)の空欄を埋める問題。
  2. 伝票記入(でんぴょうきにゅう):取引を「伝票」に起票する、または伝票から仕訳を推定する問題。
  3. 補助簿(ほじょぼ)の選択:ある取引を記録すべき「補助的な帳簿」はどれかを選ぶ問題。

どれも、第1問の仕訳問題とは形式が違うため、戸惑ってしまう方が多いのです。

第1問(仕訳)との決定的な違い

第1問と第2問の違いを、たとえ話で説明します。

  • 第1問(仕訳)
    • これは「日記」をつける作業です。
    • (例)「4月1日、電車代100円を現金で払った」という取引を、(借)交通費 100 / (貸)現金 100 という簿記の言葉(=仕訳)で記録します。
  • 第2問(勘定記入・伝票記入)
    • これは「日記(仕訳帳)」の代わりに「伝票」を使ったり、日記(仕訳)から「科目ごとの索引ページ(T勘定)」に書き写す(=転記)作業です。
    • (例)「現金」のページに、「4月1日、交通費のために100円減った」と書き写します。
    • (例)「交通費」のページに、「4月1日、現金で100円増えた」と書き写します。

第1問は取引を「記録する」スキル、第2問は記録したものを「集計する」ためのスキルや、「別の記録方法(伝票)」のスキルを問うている、という違いがあります。

【公認会計士の体験談】配点20点以上の「隠れた重要性」

「配点20点なら、最悪捨てても第1問と第3問で満点を取れば...」と思いますか?

実は、それは絶対に不可能です。

私が受験生だった頃、第2問の勘定記入が面倒で、練習を後回しにしていました。その結果、何が起きたか。

第3問の「決算整理後残高試算表」の作成問題(配点35点)で、必ず計算ミス(集計ミス)を起こすようになったのです。

それもそのはず。

第3問の決算書作成問題は、「決算整理前残高試算表」の数字に、決算整理仕訳の数字を「加減(足したり引いたり)」して、「決算整理後残高試算表」を完成させるプロセスが求められます。

この「加減(足したり引いたり)」する作業こそが、まさに第2問で問われる「勘定記入(T勘定への転記)」のスキルそのものなのです。

つまり、

「第2問の勘定記入ができない」=「第3問の集計ができない」

という、明確な因果関係があります。

第2問(20点)を捨てるということは、自動的に第3問(35点)の点数も失うことを意味します。

第2問は、配点20点でありながら、第3問にも影響する「実質55点分の重要スキル」の土台なのです。

これが、第2問を絶対に捨ててはいけない最大の理由です。

第2問の頻出論点(1)「勘定記入(T勘定)」の完璧マスター講座

では、最重要論点である「勘定記入」のやり方を、ゼロからマスターしましょう。

そもそも「勘定記入」とは?仕訳との関係性

簿記の帳簿付けは、以下の流れで行われます。

仕訳(しわけ)

  • 取引を「仕訳帳」という日記帳に記録します。(第1問のスキル)
  • (例)(借)備品 100 / (貸)現金 100

転記(てんき)

  • 「仕訳帳」の内容を、「総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)」という科目別索引ページに書き写します。
  • この「総勘定元帳」を簡略化したT字の図を「T勘定(ティーかんじょう)」と呼びます。
  • この「転記」の作業こそが、「勘定記入」です。(第2問のスキル)

試算表(しさんひょう)の作成

  • 「総勘定元帳」の各科目の残高を集計して、「残高試算表」という一覧表を作ります。(第3問のスキル)

【図解】仕訳からT勘定へ転記する「4つのステップ」

勘定記入(転記)には、絶対に間違えてはいけない「4つのルール(ステップ)」があります。

これさえ覚えれば完璧です。

  • ルール: 仕訳の「同じ側」に「相手の科目」を書く

...これだけでは分かりにくいので、ステップバイステップで見ていきましょう。

  • ステップ1: 仕訳の勘定科目を特定する
  • ステップ2: 仕訳の「借方(左)/貸方(右)」と同じ側に、金額を転記する
  • ステップ3: 日付を転記する
  • ステップ4: 「摘要(てきよう)」欄に、相手勘定科目(仕訳の反対側にいた科目)を転記する

特に初心者がつまずくのがステップ4です。「現金」のT勘定なのに、なぜか「現金」と書いてしまうミスが多いですが、正しくは「相手の科目」です。

設例で学ぶ:現金勘定への転記プロセス

具体的な設例で練習しましょう。

【設例1】

4月1日、備品100円を購入し、代金は現金で支払った。

【仕訳】

まずは仕訳を切ります。

(借方)(貸方)
備品100

【転記プロセス(勘定記入)】

この1つの仕訳を、「備品」勘定と「現金」勘定の2つのT勘定に転記します。

①「現金」勘定への転記

  1. 仕訳の「現金」は「貸方(右側)」にあります。
  2. 「現金」T勘定の「貸方(右側)」に金額 100 を書きます。
  3. 日付「4/1」を書きます。
  4. 相手勘定科目(仕訳の借方にいた科目)=「備品」を書きます。

現金 勘定(T勘定)

(借方)(貸方)
4/1 備品 100

②「備品」勘定への転記

  1. 仕訳の「備品」は「借方(左側)」にあります。
  2. 「備品」T勘定の「借方(左側)」に金額100 を書きます。
  3. 日付「4/1」を書きます。
  4. 相手勘定科目(仕訳の貸方にいた科目)=「現金」を書きます。

備品 勘定(T勘定)

(借方)(貸方)
4/1 現金 100

これが勘定記入の基本です。

意外な落とし穴:「諸口」とは?

では、次のような仕訳の場合はどうなるでしょうか?

【設例2】

4月2日、備品500円を購入した。代金のうち100円は現金で支払い、残額400円は掛け(未払金)とした。

【仕訳】

(借)備品 500 / (貸)現金 100

(貸)未払金 400

この仕訳を「備品」勘定に転記してみましょう。

  • 「備品」は「借方(左側)」に500です。
  • 相手勘定科目は...「現金」と「未払金」の2つあります。

このように、相手勘定科目が2つ以上ある場合、T勘定には「諸口(しょくち)」と記入するのがルールです。

備品 勘定(T勘定)

(借方)(貸方)
4/1 現金 100
4/2 諸口 500

「諸口」は「相手はいろいろありますよ」という意味の目印だと思ってください。試験でもよく問われるポイントです。

なぜ勘定記入が必要なの?(企業会計原則との関連)

このような「仕訳」と「勘定記入(転記)」によって、すべての取引を網羅的に記録し、科目ごとに集計する仕組みを「複式簿記(ふくしきぼき)」と呼びます。

なぜこんな面倒なことをするのでしょうか?

それは、会社の財産や儲けの状況を、正確に、漏れなく、信頼できるように計算するためです。

この考え方は、日本の会計ルールの大本(おおもと)である「企業会計原則」にも定められています。

「企業会計原則」は、上場企業などが財務諸表(決算書)を作成する際に従うべきルールです。

その中で、以下のように定められています。

「すべての取引につき、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」(企業会計原則 一般原則四

この「正確な会計帳簿」を作成するための具体的な技術が、私たちが学んでいる「仕訳」であり「勘定記入」なのです。(企業会計基準委員会(ASBJ)「企業会計原則」)

第2問の頻出論点(2)「伝票記入」の基本ルール

第2問の2つ目の頻出論点が「伝票(でんぴょう)」です。仕訳帳の代わりに、伝票と呼ばれる紙(あるいはデータ)に取引を記録する方法です。

伝票とは?仕訳帳との違い

仕訳帳は、すべての取引を日付順に1冊のノートにまとめて書くイメージです。

一方、伝票は、取引1件ごとに1枚の小さな「メモ用紙」に記録するイメージです。

なぜ伝票を使うの?(メリット)

会社が大きくなると、取引が膨大になります。

「Aさんは入金担当」「Bさんは出金担当」「Cさんは仕入担当」というように、役割分担(分業)した方が効率的です。

このとき、全員が1冊の仕訳帳を使うのは不便ですよね。

そこで、各自が担当する取引を「伝票」に書き、後でそれを集計する方がスムーズです。これが伝票式会計のメリットです。

簿記3級で必須の「3伝票制」

簿記3級では、以下の3種類の伝票の使い方(=3伝票制)を覚える必要があります。

伝票の名称どんな時に使う?(取引のトリガー)
入金伝票現金が「入ってきた」(入金された)取引
出金伝票現金が「出ていった」(出金された)取引
振替伝票現金が「動かない」取引(掛け仕入、掛け売上など)

ポイントは「現金を基準に考えること」です。

設例で学ぶ:「取引」と「選ぶべき伝票」

具体的な取引で、どの伝票を使うか見ていきましょう。

【設例3】

4月3日、商品100円を売り上げ、代金は現金で受け取った。

  • キーワード分析: 「現金で受け取った」 → 現金が入ってきた
  • 仕訳(参考): (借)現金 100 / (貸)売上 100
  • 使う伝票:入金伝票
    • (起票例)入金伝票に「売上 100」と記入します。(※借方の「現金」は伝票名(入金)で分かるので書きません)

【設例4】

4月4日、電車代50円を現金で支払った。

  • キーワード分析: 「現金で支払った」 → 現金が出ていった
  • 仕訳(参考): (借)交通費 50 / (貸)現金 50
  • 使う伝票:出金伝票
    • (起票例)出金伝票に「交通費 50」と記入します。(※貸方の「現金」は伝票名(出金)で分かるので書きません)

【設例5】

4月5日、商品200円を仕入れ、代金は掛けとした。

  • キーワード分析: 「掛けとした」 → 現金は動いていない
  • 仕訳(参考): (借)仕入 200 / (貸)買掛金 200
  • 使う伝票:振替伝票
    • (起票例)振替伝票に、仕訳をそのまま(借)仕入 200 / (貸)買掛金 200 と記入します。

【応用】一部現金取引の「分解」がカギ

試験で最も狙われやすいのが、現金とそれ以外の取引が混ざったパターンです。

【設例6】

4月6日、商品300円を売り上げ、代金のうち100円は現金で受け取り、残額200円は掛けとした。

  • 仕訳(参考):(借)現金 100(借)売掛金 200 / (貸)売上 300

この取引には「現金が入ってきた」部分と、「現金が動かない(掛け)」部分が混ざっています。

この場合、取引を2つに「分解」して伝票を2枚発行するのがルールです。

  1. 現金が入ってきた部分(現金 100 / 売上 100)
    • 入金伝票に「売上 100」と起票
  2. 現金が動かない部分(売掛金 200 / 売上 200)
    • 振替伝票に(借)売掛金 200 / (貸)売上 200 と起票

この「取引の分解」ができるかどうかが、伝票問題の得点を分けるカギとなります。

第2問の頻出論点(3)「補助簿」の選択問題を完全攻略

第2問の3つ目の頻出論点が「補助簿(ほじょぼ)」の選択です。

「この取引を記録する帳簿はどれ?」と聞かれる問題です。

会計帳簿の親子関係:「主要簿」と「補助簿」

会社の帳簿(会計帳簿)は、大きく2種類に分けられます。

  1. 主要簿(しゅようぼ)
    • 複式簿記を行う上で、絶対に必須の帳簿。
    • 「仕訳帳」(すべての日記)と「総勘定元帳」(すべての科目別索引)の2つだけです。(※伝票式会計の場合は「伝票」が仕訳帳の代わりになります)
  2. 補助簿(ほじょぼ)
    • 主要簿の記録を「より詳しく」知るために、補助的に作成される帳簿。
    • (例)総勘定元帳の「売掛金」勘定を見れば、「売掛金の残高が1,000円ある」ことは分かります。しかし、「そのうちA社分が600円、B社分が400$円」という内訳までは分かりません。
    • この内訳を記録するのが「補助簿(この場合は売掛金元帳)」です。

比喩で言えば、主要簿(総勘定元帳)が「クラス全員の成績一覧表」だとすると、補助簿は「Aくん個人の詳細な成績推移表」です。

【一覧表】簿記3級で出題される主要な補助簿とその役割

補助簿の選択問題で満点を取るコツは、「どんな取引(キーワード)があったら、どの補助簿に記入するか」をセットで覚えることです。

簿記3級で出題される主要な補助簿を「取引のトリガー」別にまとめました。この表を覚えれば完璧です。

取引別・補助簿早わかり表

補助簿の名称どんな時に記録する?(取引のトリガー)どの勘定科目を詳しく知りたい?
現金出納帳現金の入金・出金があった時(すべての現金取引)現金
小口現金出納帳小口現金(経費精算用の手元金)を使った時小口現金
当座預金出納帳当座預金口座での取引(小切手の振出・入金など)があった時当座預金
仕入帳商品を「掛け」で仕入れた時 (※1)仕入
売上帳商品を「掛け」で売り上げた時 (※1)売上
受取手形記入帳受取手形」を受け取った時受取手形
支払手形記入帳支払手形」を振り出した(渡した)時支払手形
商品有高帳商品が「入った(仕入)」「出た(売上)」時 (※2)繰越商品(在庫)
売掛金元帳(得意先元帳)得意先ごと(A社、B社)の「掛け(売掛金)」の残高を知りたい時売掛金
買掛金元帳(仕入先元帳)仕入先ごと(C社、D社)の「掛け(買掛金)」の残高を知りたい時買掛金

(※1) 簿記3級の試験では、仕入帳・売上帳は原則として「掛け取引」のみを記録することが多いです。

(※2) 商品有高帳は、商品の「個数」と「単価」を記録する点が特徴です。

設例で学ぶ:「取引」と「選ぶべき補助簿」の組み合わせ

実際の取引で、いくつの補助簿に記入が必要かを見てみましょう。

【設例7】

A商店から商品100円を仕入れ、代金は掛けとした。

  • キーワード分析:
    1. 「商品を仕入れ」 → 在庫が増えた
    2. 「代金は掛け」 → 掛けの仕入が発生した
    3. 「A商店から」 → A商店への買掛金が増えた
  • 選ぶべき補助簿:
    1. 商品有高帳 (商品の在庫が増えたから)
    2. 仕入帳 (掛けで仕入れたから)
    3. 買掛金元帳 (A商店への買掛金を管理するため)

【設例8】

B商店に商品200円を売り渡し、代金のうち100円は現金で受け取り、残りは掛けとした。

  • キーワード分析:
    1. 「商品を売り渡し」 → 在庫が減った
    2. 「現金で受け取り」 → 現金が増えた
    3. 「残りは掛け」 → 掛けの売上が発生した
    4. 「B商店に」 → B商店への売掛金が増えた
  • 選ぶべき補助簿:
    1. 商品有高帳 (商品の在庫が減ったから)
    2. 現金出納帳 (現金が増えたから)
    3. 売上帳 (掛けで売り上げたから)
    4. 売掛金元帳 (B商店への売掛金を管理するため)

このように、1つの取引で複数の補助簿に記入が必要になることが分かりますね。

「どのキーワードが、どの補助簿につながるか」を意識して仕訳問題を解くと、一気に理解が深まります。

第2問の「最新トレンド」と公認会計士おすすめの学習法

最後に、第2問の最新の試験傾向と、それに対応するための効率的な学習法をお伝えします。

ネット試験(CBT)導入で「第2問」はどう変わったか?

ご存知の通り、日商簿記検定は、従来の紙の試験(統一試験)に加え、パソコンで受験する「ネット試験(CBT方式)」が主流になっています(出典:商工会議所(www.kentei.ne.jp))。

sato
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ネット試験について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

このネット試験の導入で、第2問の出題形式も少し変わりました。

  • 勘定記入:手書きでT勘定を埋めるのではなく、T勘定の空欄(ボックス)に「数値をキーボードで入力する」形式。
  • 伝票記入:伝票の空欄に「勘定科目や数値をキーボードで入力する」形式。
  • 補助簿選択:問題文の取引に対し、正しい補助簿を「プルダウンメニューから選択する」形式。

傾向と対策:

漢字を「書く」必要がなくなったため、暗記の負担は減りました。

しかし、選択肢から「迷わず瞬時に」選ぶための正確な知識と、PC入力のスピードがより重要になっています。

「なんとなく」の理解では、時間切れになってしまいます。

第2問対策のルール:仕訳(第1問)を完璧にすること

ここまでお読みいただき、もうお分かりかと思いますが、第2問の対策は、結局のところ「仕訳を完璧にすること」に尽きます。

  • 仕訳が切れなければ、勘定記入(転記)はできません。
  • 仕訳が切れなければ、どの伝票(入金・出金・振替)を使うか判断できません。
  • 仕訳で使う勘定科目が分からなければ、どの補助簿(現金?当座預金?売掛金?)を選ぶか判断できません。

第1問の対策は、そのまま第2問の対策になります。

過去問や問題集を解く際は、「直近3~5回分を3周する」ルール を意識し、仕訳の精度を極限まで高めましょう。

おすすめ学習ステップ:「仕訳→勘定記入」の反復練習

公認会計士である私が、受験生に最もおすすめしている第2問の学習法は、「第1問の練習」と「第2問の練習」を合体させてしまうことです。

普段、第1問の仕訳問題を解いたら、答え合わせをして「〇」か「×」をつけて終わり、にしていませんか?

それを、今日からこう変えてください。

  • ステップ1: 第1問の仕訳問題を解く(例:備品 100 / 現金 100)。
  • ステップ2: 解答を見て仕訳が合っていたら、そこで終わりにせず、白紙の紙にT勘定を書き、自分で転記してみる。(=第2問・勘定記入の練習)
  • ステップ3: さらに、「この取引で使う伝票は?」「使う補助簿は?」と自問自答する。(例:「現金が出ていったから出金伝票だな」「現金出納帳に記録するな」)と頭の中で連想する。(=第2問・伝票/補助簿選択の練習)

1つの仕訳問題から、「仕訳」「転記」「伝票」「補助簿」の4つの練習をするのです。

この「1粒で4度おいしい」学習法が、第1問・第2問・第3問(集計)を同時に鍛える最短ルートです。

sato
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とはいえ、「第1問・第2問・第3問のつながりを意識した学習」は、独学だとなかなか難しい部分もあります。

特に勘定記入や補助簿のつながりは、一度プロの講師から体系的に学ぶと、「あ、全部つながっていたんだ!」と一気に視界が開ける瞬間があります。もし学習の効率化を図りたい、最短ルートで合格したいと考えるなら、簿記・会計専門学校の講座を利用するのも賢い選択です。

まとめ:第2問を制する者は簿記3級を制す

今回は、簿記3級の「第2問」の対策について、徹底的に解説しました。

  • 要点1: 第2問は配点20点だが、第3問(35点)の集計スキルそのものであり、「実質55点分」の超重要論点である。
  • 要点2: 「勘定記入」は、仕訳(第1問)をT勘定に移す作業。ルールは「同じ側」に「相手科目」を書くこと。「諸口」に注意。
  • 要点3: 「伝票記入」は、「現金の動き」で判断する。「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3種類。一部現金取引は「分解」がカギ。
  • 要点4: 「補助簿」は、主要簿の「詳細版」。問題文の「取引のトリガー(掛け、手形、現金など)」とセットで覚える。
  • 要点5: 最短の学習法は、第1問の仕訳を解く際に「転記(T勘定)」と「伝票・補助簿の連想」をセットで練習すること。

第2問は、決して「捨て問」ではありません。むしろ、簿記の根幹である「仕訳→転記→集計」の流れを理解しているかを試す、良質な問題です。

第2問をマスターすれば、第3問の集計ミスも劇的に減り、合格が一気に近づきます。

sato
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次回は、「【体験レポ】簿記3級ネット試験当日の流れを完全シミュレーション!」について詳しく解説していきます。ぜひ、そちらもご覧ください。

sato
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簿記3級の合格は、あなたのキャリアにとって大きな一歩です。

この「会計の共通言語」を身につけたことで、経理職への転職や、現職でのキャリアアップ(営業職でも、数字に強い人は評価されます)など、新たな可能性が広がります。

ご自身の市場価値や、簿記資格を活かせる転職先について具体的に知りたい方は、一度キャリアアドバイザーに相談してみるのも良いでしょう。特に経理・会計分野に強いエージェントなら、専門的なアドバイスがもらえます。

よくある質問(Q&A)

第2問は配点が20点と低いですが、捨てても合格できますか?

結論から言うと、第2問を捨てて合格するのは非常に困難です。本文でも解説した通り、第2問で問われる「勘定記入(転記・集計)」のスキルは、配点35点の第3問(決算書作成)で必須のスキルだからです。第2問(20点)+第3問(35点)=実質55点分の基礎スキルだと考え、必ず対策してください。

 勘定記入で、相手勘定科目を書く理由は何ですか?(例:「現金」勘定に「備品」と書く理由)

良い質問です。これは、複式簿記の「取引のつながり」を後から追いかけられるようにするためです。「現金」勘定の貸方(右側)に「4/1 備品 100」と書いてあれば、「4月1日に、備品を買うために現金が100円減ったんだな」と、取引の理由(原因)が一目でわかります。もし「4/1 現金 100」と書いていたら、なぜ減ったのか分からなくなってしまいます。

伝票と仕訳帳は、両方とも作成する必要があるのですか?

いいえ、どちらか一方です。伝票を作成する会社(伝票式会計)では、伝票が仕訳帳の代わりになります。伝票を使わない会社(仕訳帳式会計)では、仕訳帳を使います。簿記3級では両方のパターンが出題されます。

「一部現金取引」(例:売上の半分が現金、半分が掛け)の場合、伝票はどうなりますか?

これが試験の重要ポイントです。取引を「現金が動いた部分」と「現金が動かなかった部分」の2つに「分解」して起票します。例の場合、「現金が入金された部分(現金 / 売上)」を入金伝票に、「掛け(売掛金)になった部分(売掛金 / 売上)」を振替伝票に、2枚の伝票で記録します。

ネット試験(CBT)でも、勘定記入は手書きで練習すべきですか?

はい、練習は手書きをおすすめします。ネット試験ではPC入力(数値の打ち込み)になりますが、T勘定の「借方・貸方のどちらに」「どの相手科目で」転記するかという「判断」は、手書きで練習するのが最も効率的だからです。頭の中で正確に転記の判断ができるようになれば、PC入力はすぐに慣れます。


sato
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数ある簿記専門学校、書籍の中からいくつかご紹介致します。簿記学習の参考としてください。

sato
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簿記資格の老舗予備校であり、資格指導歴は30年以上に及び、数多くの合格者を輩出してきた確かな実績があります。各資格に特化した講師陣が集まっていますので、講義の品質だけでなくサポート制度にも期待できます。

資格の学校TAC
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長年の蓄積されたノウハウを活用した専門性の高いテキストと、わかりやすい講師の解説に定評があり、Webでの受講だけでなく、質問しやすい環境や、進捗を管理してくれるサポートが充実しています。

大原学園 専門課程
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図解が多くフルカラーで分かりやすいTAC出版の「スッキリわかる」シリーズや「みんなが欲しかった!」シリーズが定番です 。これらはテキストと問題集が一体化または連動しており、効率的です。さらに、ネット試験対策としては、模擬試験プログラムが付属している教材(例:「パブロフ流」シリーズ )を選び、本番同様のPC操作に慣れておくことが合否を分けます。

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