このページはプロモーションを含みます 5.スキルアップ

【公認会計士】簿記初心者から4000時間で合格する勉強法ロードマップ

Sato|元・大手監査法人公認会計士が教える会計実務!

Sato|公認会計士| あずさ監査法人、税理士法人、コンサルファームを経て独立。 IPO支援・M&Aを専門とし、企業の成長を財務面からサポート。 このブログでは、実務に役立つ会計・税務・株式投資のノウハウを分かりやすく解説しています。

こんな方におすすめ

  • 公認会計士に興味がある簿記初心者の方
  • 何から勉強を始めるべきか悩んでいる方
  • 膨大な勉強時間に圧倒されそうな方
  • 社会人で合格を目指す学習計画を知りたい方

みなさんこんにちは。公認会計士のSatoです。かつての私も、簿記の基本的な知識しか持たない、ごく普通の受験生でした。「合格に必要な勉強時間は4000時間」「合格率は10%未満」。そんな数字を前に、圧倒され、不安に感じた日のことを今でも覚えています。  

しかししかし、断言します。公認会計士試験は、天才だけが合格できる試験ではありません。正しい戦略と実行可能な計画、そして継続する意志があれば、簿記初心者からでも必ずゴールにたどり着けます。

この記事は、壮大な挑戦のスタートラインに立つあなたのための、具体的な「地図」となるものです。4000時間という長い旅を、どう歩み、どう乗り越えていくのか。私の経験とデータに基づき、解説していきます。

公認会計士試験、本当に簿記初心者でも合格できる?

結論:正しいロードマップがあれば可能です!

結論から言えば、答えは明確に「YES」です。公認会計士試験は、才能を問う試験ではなく、戦略的な計画を立て、それを着実に実行し、困難に直面しても諦めなかった者が合格する試験です。

実際に、公認会計士・監査審査会のデータを見ると、合格者の半数以上は大学在学中または卒業直後の学生です 。彼らの多くが、大学の講義で初めて会計学に触れるところからスタートしています。つまり、「初心者から始める」ことは、合格者の王道パターンの一つなのです。  

彼らの成功が示すのは、大学生活がもたらす「学習の構造化」の重要性です。決まったカリキュラムや授業、定期試験という強制的な学習環境が、長期的な学習継続を支えます。社会人や独学で目指す方は、この「構造」を自ら作り出すことこそが、合格への第一歩となります。

合格に必要な総勉強時間「4000時間」の内訳

「4000時間」と聞くと、あまりの長さに心が折れそうになるかもしれません。大手予備校TACの調査では、一発合格者の平均勉強時間は3,776時間であり、一般的に3,000時間から5,000時間が必要とされています 。

しかし、この時間を一つの塊として捉える必要はありません。これは、複数のフェーズに分割されたプロジェクトです。4000時間を以下のように分解することで、今何をすべきかが明確になります。

ステージ期間の目安(2年計画の場合)時間配分主な目的重点科目
【ステップ1】基礎固め1~6ヶ月目1,000時間盤石な土台作りと学習習慣の確立財務会計論、管理会計論
【ステップ2】短答式対策7~18ヶ月目2,000時間短答式試験全科目の習熟と苦手克服全科目(特に監査論、企業法を追加)
【ステップ3】論文式対策19~24ヶ月目1,000時間応用力と答案作成能力の養成論文式科目(租税法、選択科目)

このように、旅全体を3つの区間に分けることで、「今は基礎固めに集中する」「次は短答式試験の全範囲をマスターする」と、目の前の目標が具体的になり、着実に前進している実感を得られます。

【ステップ0】勉強開始前に固めるべき「受験戦略」

本格的な学習を始める前に、まず「戦い方」を決めましょう。ここで立てる戦略が、今後の学習効率を大きく左右します。

簿記2級は先に取るべきか?専門家の答え

これは非常によくある質問です。私の答えは、「資格取得は必須ではないが、簿記2級レベルの知識習得は絶対条件」です。

公認会計士試験の最重要科目である「財務会計論」は、簿記2級の知識が定着していることを前提としています 。この土台がなければ、その上にどれだけ高度な理論を積み上げようとしても、すぐに崩れてしまいます。  

試験を受けて合格証書を手に入れる必要はありませんが、市販の教材を使い、簿記2級の範囲を誰にでも説明できるレベルまでマスターしてから、本格的な学習に進むことを強く推奨します。

予備校か独学か?メリット・デメリットを比較

次に決めるべきは、学習の進め方です。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが最適かはあなたの性格、予算、生活スタイルによって異なります。

比較項目予備校独学専門家の視点
費用高額(50~80万円程度)低額(書籍代のみ)初期投資は大きいですが、合格までの期間を短縮できれば結果的に安くつくこともあります。
学習計画最適化されたカリキュラムを提供全て自作する必要がある予備校の最大の価値。合格から逆算された無駄のないロードマップが手に入ります。
教材試験に特化したテキスト、答練膨大な市販教材から自分で選定予備校教材は、出題傾向を分析し尽くした効率的なインプット・アウトプットを可能にします。
モチベーション仲間や講師からの刺激がある孤独になりがちで挫折リスクが高い2年以上にわたる長丁場では、コミュニティの存在が精神的な支えになります
柔軟性授業時間に縛られる非常に高い仕事が不規則な社会人には魅力的ですが、強い自己管理能力が求められます

自己管理に絶対の自信があり、孤独な環境でもモチベーションを維持できるなら、独学も選択肢の一つです。しかし、特に働きながらの短期合格を目指す社会人の方や、学習の方向性で迷いたくない方にとって、効率的に合格へ導くカリキュラムを提供してくれる予備校の活用が、結果的に時間とお金の節約になることが多いでしょう。

sato
sato

まずは大手予備校が提供している無料の講座や資料請求を利用して、自分に合うかどうかを確かめてみましょう。

【ステップ1】学習初期(最初の6ヶ月):基礎固めと習慣化

いよいよ学習のスタートです。最初の半年間は、今後の長い旅を支えるための最も重要な期間です。

まずは財務会計論と管理会計論に集中する理由

公認会計士試験の学習は、まず「財務会計論」と「管理会計論」から始めるのが鉄則です 。なぜなら、この2科目は会計の根幹をなし、他のすべての科目の基礎となるからです。  

特に財務会計論は、短答式試験において配点が他の科目の2倍である200点に設定されています 。この科目を制するものが試験を制すると言っても過言ではありません。ここで盤石な計算力と理論の理解を築くことが、後々の学習をスムーズに進める鍵となります。

sato
sato

財務会計論の具体的な勉強法はこちらで完全解説しています。

管理会計論で落ちる人の特徴と対策もあわせて確認しましょう。

1日の勉強スケジュールのモデルケース(大学生・社会人別)

2年計画(約4000時間)で合格を目指す場合、1日平均5~6時間の勉強が必要です 。これを生活にどう組み込むか、具体的なモデルケースを以下に示します。

時間帯大学生のモデルケース社会人のモデルケース
朝 (7:00-9:00)起床後、講義前に2時間勉強通勤電車で1時間(理論科目の暗記)
昼 (12:00-13:00)昼休みに1時間勉強昼休みに30分(前日の復習)
夕方 (17:00-19:00)講義後、夕食前に2時間勉強(残業)
夜 (20:00-23:00)夕食・休憩後、2時間勉強帰宅後、2~3時間(計算問題中心)
合計約7時間約4~5時間(平日の場合)

社会人の方は、平日はまとまった時間が取りにくいため、通勤時間や昼休みなどの「スキマ時間」を最大限に活用することが重要です 。そして、平日に不足した分は、土日に8~10時間集中して勉強することでカバーします 。大切なのは、毎日少しでも教材に触れ、学習を「習慣」にすることです。  

インプットとアウトプットの黄金比率

初心者が陥りがちな罠が、「インプット過多」です。講義を聴いたり、テキストを読んだりするだけで満足してしまい、問題を解く「アウトプット」を疎かにしてしまうのです。これでは知識は定着しません。

学習は、アウトプットを通じて初めて完成します。問題を解くことは、知識を確認する作業ではなく、知識を脳に刻み込むための最も効果的な学習方法なのです。学習期間を通じて、インプットとアウトプットの比率を戦略的に変化させていきましょう 。

  • 学習初期(1~6ヶ月目):インプット 70% / アウトプット 30%
    • まずは講義やテキストで全体像を理解することに重点を置きます。各章の基本的な例題を解けるようにしましょう。
  • 学習中期(7~18ヶ月目):インプット 50% / アウトプット 50%
    • 知識の定着と応用力の養成を目指します。問題演習の比重を高め、様々なパターンの問題に対応できる力をつけます。
  • 学習後期(19ヶ月目~):インプット 30% / アウトプット 70%
    • 答練や模試を中心に、本番さながらの実践演習を繰り返します。弱点の発見と克服に全力を注ぎます。

【ステップ2】学習中期(短答式試験まで):全科目の回転と苦手克服

基礎固めが終わったら、いよいよ短答式試験に向けた本格的な対策期間に入ります。

監査論・企業法を効率的に学習に組み込む方法

財務・管理会計論と異なり、「監査論」と「企業法」は暗記の比重が高い科目です。これらの科目を効率的に学習するコツは、「毎日少しずつ、繰り返し触れること」です 。  

まとまった時間を取って一気に覚えようとするのではなく、社会人のモデルケースで示したように、通勤時間や寝る前の30分などを使って、毎日コツコツと学習を進めましょう 。理論科目は、一度に長時間学習するよりも、短時間でも接触頻度を増やす方が記憶に定着しやすい性質があります。  

sato
sato

監査論がわからない理由と実務がイメージできる勉強法については、こちらの記事が役立ちます。

企業法の暗記地獄から抜け出す思考法も確認しましょう。

答練・模試の正しい活用法:復習こそが命

この時期から、予備校の答練(答案練習)や模試が本格化します。ここで絶対に忘れてはならないのは、「答練は受けること自体に価値があるのではなく、復習にこそ価値がある」という事実です。

点数を見て一喜一憂するだけで終わらせては、時間とお金の無駄です。以下の3ステップで、1回の答練の効果を最大化しましょう。

  1. ミスの分析:なぜ間違えたのか?「計算ミス」「勘違い」「時間不足」「知識不足」など、原因を徹底的に分析します 。  
  2. 知識の再インプット:分析結果に基づき、該当箇所のテキストや講義に戻り、知識の穴を完璧に埋めます。
  3. ミスノートの作成:自分が間違えやすい論点やパターンをノートにまとめ、次の答練前に見返すことで、同じ過ちを繰り返すのを防ぎます 。  

このサイクルを回すことで、答練は単なる実力測定の場から、最高の学習教材へと変わります 。

【ステップ3】学習後期(論文式試験まで):応用力と答案作成能力の養成

短答式試験という大きな山を越えたら、最終関門である論文式試験が待っています。

論文式特有の対策とは?

論文式試験は、短答式試験とは全く異なる能力が求められます。それは、知識をただ思い出すだけでなく、論理的に文章を構成し、採点者に伝わるように表現する能力です 。

対策の鍵は、とにかく「書く」練習を積むことです。予備校の論文対策講座や答練を活用し、自分の考えを答案に落とし込む訓練を繰り返しましょう 。その際、結論を先に述べ、次に理由や根拠、具体例を続けるといった、論理的な答案構成の型を身につけることが重要です 。

選択科目はいつから始めるべきか

論文式試験では、経営学、経済学、民法、統計学の中から1科目を選択します 。この選択科目の学習を開始する最適なタイミングは、「短答式試験に合格した後」です。  

理由は、リソースの集中です。短答式試験は、合格しなければ論文式試験の受験資格すら得られない最初の関門です。まずは必須科目に全力を注ぎ、この関門を突破することに集中すべきです。短答式試験が終わってから論文式試験までは約3ヶ月の期間があり、選択科目を仕上げるには十分な時間です。

sato
sato

租税法の計算ミスが9割減る思考法については、こちらで解説しています。

選択科目の選び方、最短学習戦略についても確認しましょう。

挫折しないための3つのメンタルハック

4000時間の旅路では、必ずスランプやモチベーションの低下が訪れます。学力だけでなく、「心の戦略」も合否を分ける重要な要素です。

モチベーションを維持する小さな目標設定術

「公認会計士に合格する」という最終目標は、あまりに遠大で、日々のモチベーションを維持するには不向きです。大切なのは、達成可能な「小さな目標」を立て、成功体験を積み重ねることです 。

  • 悪い例:「今月は財務会計論を頑張る」
  • 良い例:「今週中に、財務会計論のテキスト第5章を終わらせ、週末の確認テストで80%以上取る」

このように、具体的で測定可能な短期目標を設定し、それをクリアしていくことで、「自分は着実に前に進んでいる」という感覚が得られます。勉強時間を記録アプリで可視化するのも、努力を実感できる良い方法です 。  

sato
sato

専門の予備校が提供する最適化された学習プランに乗ってしまうのも、賢明な戦略の一つです。カリキュラム通りに進めるだけで合格に必要な知識が身につくため、「次に何をすべきか」と迷う時間をゼロにし、勉強だけに100%集中できる環境が手に入ります。

スランプに陥ったときの具体的な対処法

成績が伸び悩むスランプは、誰にでも訪れます。そんな時は、自分を責めずに、以下の対処法を試してみてください。

  1. スランプを肯定的に捉える:スランプは、あなたが限界に挑戦し、成長しようとしている証拠です。努力していない人はスランプに陥りません 。  
  2. 環境を変える:いつもの自習室ではなく、カフェや別の図書館で勉強してみましょう。気分転換になり、集中力が回復することがあります 。  
  3. 科目を変える:計算問題に詰まったら、一旦離れて理論科目の暗記に切り替えるなど、頭の使い方を変えてみましょう。
  4. 計画的に休む:罪悪感を感じながらダラダラ勉強するより、「今日は半日休む」と決めてリフレッシュする方が、結果的に効率は上がります 。

「完璧主義」を捨てることが短期合格の鍵

公認会計士試験の膨大な試験範囲を、100%完璧に理解することは不可能です。この試験で求められるのは、満点を取ることではなく、合格ラインである約70%(短答式)を確実に超えることです 。  

重箱の隅をつつくような細かい論点に時間を費やすよりも、誰もが正解する基本的な論点を絶対に落とさないことの方が、合格には遥かに重要です。8割の受験生が解ける問題を確実に正解し、難しい問題は部分点を狙う。この「完璧を目指さない」勇気が、短期合格の鍵を握っています 。  

まとめ:4000時間は長い旅、しかしゴールは必ず見える

ここまで、簿記初心者から公認会計士に合格するための4000時間のロードマップを解説してきました。

この旅は、決して平坦な道のりではありません。しかし、正しい戦略(ステップ0)を立て、段階的な計画(ステップ1~3)に従って一歩ずつ進み、強い心(メンタルハック)を持ち続ければ、ゴールは必ず見えてきます。

4000時間という旅も、最初の1時間から始まります。この記事が、あなたの輝かしいキャリアへの第一歩を踏み出すきっかけとなれば、これほど嬉しいことはありません。

sato
sato

この難関試験を乗り越えた先には、監査法人での安定したキャリアはもちろん、FAS、経営コンサルタント、事業会社のCFOといった、あなたの可能性を無限に広げる多様で高年収なキャリアが待っています。

よくある質問(Q&A)

働きながらでも本当に合格できますか?

はい、可能です。ただし、専念受験生に比べて学習期間が長くなる傾向があるため、2年ではなく3~4年での合格を目標にするなど、現実的な計画を立てることが重要です。本記事で紹介した社会人向けの学習スケジュールを参考に、「継続性」を最優先してください。平日は短時間でも必ず机に向かい、週末に集中して学習時間を確保するメリハリが鍵となります。

計算科目と理論科目、どちらが重要ですか?

どちらも同じくらい重要であり、バランスが不可欠です。短答式試験では、配点の高い財務会計論・管理会計論といった計算科目が得点源となります。一方で、監査論・企業法などの理論科目で基準点(満点の40%)を下回ると不合格になる可能性があるため、苦手だからといって捨てることはできません 。計算で点数を稼ぎ、理論で足元をすくわれない、という戦略が基本になります。

論文式試験の選択科目は、どれを選べばよいですか?

選択科目はご自身の経歴や得意分野によって最適なものが異なりますが、一般的には「経営学」を選択する受験生が最も多いです 。経営学は、他の科目に比べて計算の負担が少なく、学習範囲も比較的コンパクトなため、多くの受験生にとって対策しやすい科目とされています。数学が得意な方は「経済学」や「統計学」、法律の学習経験がある方は「民法」も選択肢となりますが、まずは予備校のサンプル講義を受けたり、テキストを比較検討したりして、ご自身が最も興味を持て、かつ得点しやすいと感じる科目を選ぶことをお勧めします 。


数ある専門学校の中からいくつかご紹介致します。資格取得に際し専門学校選びのご参考として頂けますと幸いです。

公認会計士、米国公認会計士、税理士の資格取得をご検討されている方

資格の学校TAC

公認会計士、税理士の資格取得をご検討されている方

大原学園 専門課程

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

Sato|元・大手監査法人公認会計士が教える会計実務!

Sato|公認会計士| あずさ監査法人、税理士法人、コンサルファームを経て独立。 IPO支援・M&Aを専門とし、企業の成長を財務面からサポート。 このブログでは、実務に役立つ会計・税務・株式投資のノウハウを分かりやすく解説しています。

-5.スキルアップ