株式投資を始めようと思ったとき、「どんな会社に投資すればいいんだろう?」と悩んでしまいますよね。
- 売上がどんどん伸びている会社?
- 利益がたくさん出ている会社?
- 有名なサービスを提供している会社?
どれも「良い会社」の判断基準になりそうですが、私たち会計士が企業の健康状態や実力を見るとき、もう一つ、とても大切にしている視点があります。
それは、「どれだけ効率的に稼いでいるか?」という視点です。
少ない元手で大きな利益を生み出す「商売上手」な会社を見つけることができれば、あなたの投資が成功する確率はぐっと高まります。
そして、その「稼ぐ効率」をズバリと見抜くことができる魔法の指標、それが今回ご紹介する「ROE(アールオーイー)」です。
この記事では、会計のプロである公認会計士が、このROEという指標について、専門用語を一切使わずに「世界一わかりやすく」解説します。この記事を読み終える頃には、あなたも企業の通知表を読み解く力が身につき、自信を持って投資先を選べるようになっているはずです。
「株って難しそう…」と思っているあなたへ。最初の一歩がスルッと踏み出せる、初心者ガイドをまとめました!
- 初めての株式投資(1)【完全版】株式投資の始め方ガイド|初心者が月1万円から資産を作るための全ステップを専門家が解説
- 初めての株式投資(2)新NISAで1800万円を使いこなす正しい方法|公認会計士が教える失敗しない資産形成のコツ
- 初めての株式投資(3)【株式投資の税金】確定申告は必要?不要?口座の選び方と賢い節税テクニックを解説
- 初めての株式投資(4)【データで比較】新NISAのインデックス投資とアクティブ投資、初心者が選ぶべきなのはどっち?
- 初めての株式投資(5)【財務諸表の読み方①】貸借対照表(B/S)でわかる会社の財産と安定性!会計士が注目するポイント
- 初めての株式投資(6)【財務諸表の読み方②】:損益計算書(P/L)の「5つの利益」で企業の儲ける力を見抜く方法
- 初めての株式投資(7)【財務諸表の読み方③】会計士が徹底解説!キャッシュ・フロー計算書で「本当の儲け」を見抜く技術。黒字倒産はなぜ起こる?
- 初めての株式投資(8)有価証券報告書は『宝の山』!投資家が企業の価値を見抜くために絶対読むべき5つのポイントを徹底解説
- 初めての株式投資(9)「PERが高くて投資に迷う」は間違い?知らないと損する株の割安判断とプロの正しい使い方
- 初めての株式投資(10)【投資家必見】ROE(自己資本利益率)とは?目安やROAとの違い、注意点をプロが解説
- 初めての株式投資(11)知らないと危険!M&Aの「のれん」が時限爆弾になる理由と2025年会計基準変更動向への正しい備え方
- 初めての株式投資(12)PBR1倍割れは「買い」なのか?東証の改善要請を追い風にする新投資戦略
- 初めての株式投資(13)決算短信の読み方ロードマップ|公認会計士が5つのポイントを徹底解説
- 初めての株式投資(14)成長株 vs 割安株 あなたの投資スタイルはどっち?違い・見分け方からおすすめ銘柄まで
- 初めての株式投資(15)高配当株投資の「魅力」と「罠」|本当の安定配当株を見分ける5つの指標
- 初めての株式投資(16)株主優待を目当ての投資はアリ?メリットと、知らないと損する7つのデメリット
- 初めての株式投資(17)IR情報は宝の山!企業の「生の声」から10年後の成長を見抜く、最強の企業分析術
- 初めての株式投資(18)あなたも対象かも?インサイダー取引とは。「うっかり」加害者にならないための規制内容・罰則・事例を徹底解説
- 初めての株式投資(19)【完全ガイド】保有株にTOB(株式公開買付)が発表されたら?個人投資家が取るべき3つの対応と税金の注意点
- 初めての株式投資(20)IPO株投資は本当に儲かる?公認会計士が「初値で稼ぐ」仕組みと上場の舞台裏を徹底解説
- 初めての株式投資(21)株式投資で勝つためのセクター・業界分析 完全ガイド
- 初めての株式投資(22)財務分析だけでは不十分!企業価値を正しく見抜く非財務分析の重要性とは
- 初めての株式投資(23)テクニカル分析とファンダメンタルズ分析はどっちが重要?違いと使い方を投資初心者へ解説
- 初めての株式投資(24)【PBR1倍割れは脱却可能】コーポレートガバナンス改革が株価に与える影響とは?東証要請のポイントと企業価値向上の具体策
- 初めての株式投資(25)「空売り」って何?公認会計士が解説する仕組みとリスク、初心者が手を出すべきでない理由
- 初めての株式投資(26)会計基準の変更が株価に与える影響の仕組み|IFRSの重要事例付き
- 初めての株式投資(27)【なぜ違う?】株価と企業価値、その本質的な関係を専門家が解説
- 初めての株式投資(28)【初心者向け】不正会計の見つけ方。決算書の危険なサイン5選
- 初めての株式投資(29)経営分析:ユニクロ、ニトリ、QBハウスはなぜ強いのか?
- 初めての株式投資(30)【経営者・役員は必見】新NISA1800万円を使い切る前に後悔しないための正しい出口戦略|役員退職金と事業承継に活かす究極の活用法
目次
ROEとは?~株主のお金をどれだけ上手に使っているかの「成績表」~
ROEとは、「Return On Equity(リターン・オン・エクイティ)」の頭文字を取ったもので、日本語では「自己資本利益率(じこしほんりえきりつ)」と言います。
…と、いきなり英語や漢字が出てきて「うわっ、難しそう…」と思ったあなた、安心してください。
この言葉を、もっと身近なものに翻訳してみましょう。
ROEとは、 「株主である、あなたから預かったお金(自己資本)を元手にして、会社が1年間でどれだけ上手に利益(儲け)を生み出したか」 を示す成績表のようなものです。
もう少し噛み砕くと、「株主のお金を使って、何パーセントの利益を稼ぎ出したか」という、投資の「利回り」に近いイメージです。
例えば、あなたが友人に「この100万円を元手に商売してきて!」とお金を預けたとします。1年後、友人が「10万円儲かったよ!」と言って戻ってきたら、利回りは10%ですよね。この「10%」にあたるのが、会社のROEだと思ってください。
当然、この数字が高いほど、「預けたお金を上手に使って、たくさん稼いでくれる会社」、つまり「経営が上手な会社」ということになります。
ROEの計算は意外と簡単!会社の「稼ぐ効率」を計算してみよう
「なんだか面白そうだけど、計算が難しいんじゃ…?」 ご心配なく。ROEの計算式は、実はとてもシンプルで、小学生の算数レベルです。
ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
この計算式に出てくる2つの言葉だけ、少し解説させてください。これさえ分かれば、あなたも会社のROEを計算できるようになります。
① 当期純利益(とうきじゅんりえき)
これは、会社の「最終的な儲け」のことです。 会社は商品を売って売上を立てますが、そこから材料費や人件費、広告費などのコストを支払い、さらに銀行への利息や税金まで、支払うべきものをすべて支払った後に、最終的に会社に残る利益です。 いわば、会社の「手取り収入」のようなものですね。これは会社の「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」という書類に書かれています。
② 自己資本(じこしほん)
これは、「株主が出したお金」と「会社が過去に稼いで貯めてきた利益」を合計したものです。 銀行からの借入金(負債)と違って、返す必要のない、会社が事業のために自由に使えるお金です。 株主から見れば、「自分たちが会社に提供したお金」そのものです。これは会社の「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」という書類の中の「純資産の部」を見れば分かります。
具体例で見てみよう!A社とB社、どっちが「商売上手」?
言葉だけだと分かりにくいので、具体的な数字で見てみましょう。ここに、A社とB社という2つの会社があります。
【A社】
- 自己資本(株主からのお金):100億円
- 当期純利益(最終的な儲け):10億円
【B社】
- 自己資本(株主からのお金):200億円
- 当期純利益(最終的な儲け):10億円
どちらの会社も、最終的な儲けは同じ「10億円」です。利益の額だけ見ると、優劣はつけられませんね。 では、ROEを計算してみましょう。
- A社のROE = 10億円 ÷ 100億円 × 100 = 10%
- B社のROE = 10億円 ÷ 200億円 × 100 = 5%
結果は一目瞭然ですね。 A社は、株主から預かったお金(100億円)を使って、その10%にあたる10億円の利益を生み出しています。 一方、B社は、A社の2倍のお金(200億円)を使いながら、その5%にあたる10億円しか生み出せていません。
同じ利益額でも、より少ない元手で効率的に稼いでいるA社の方が「商売上手」であり、投資家にとっては魅力的な会社だと判断できるのです。
なぜ投資家はROEをこれほど大切にするのか?
ウォーレン・バフェットをはじめとする世界中の名だたる投資家たちが、このROEという指標を非常に重視しています。それはなぜでしょうか? 理由は大きく3つあります。
1. 「経営者の腕前」が分かるから
ROEは、経営者が株主から託された資金を、いかに効率的に利益に変えているかを示す指標です。ROEが高いということは、無駄な資産を持たず、 profitable な事業に資金を集中させ、上手に経営している証拠と言えます。つまり、「経営者の腕前が良い」ことの証明になるのです。
2. 将来の「成長のエンジン」になるから
ROEが高い会社は、毎年効率よく利益を生み出します。そして、その生み出した利益(当期純利益)は、株主に配当として還元される以外は、会社内部に蓄積され、翌年の「自己資本」の一部になります。
自己資本が増えれば、それを元手にさらに大きな利益を生み出すことができます。 「利益が新たな利益を生む」…そう、これは「複利の効果」です。ROEが高い会社は、この複利のエンジンが非常に強力で、雪だるま式に企業価値を高めていく可能性を秘めています。これが、将来の株価上昇への大きな期待につながるのです。
3. 「株主への還元」が期待できるから
会社が稼いだ利益は、株主のものでもあります。ROEが高く、安定して利益を稼げる会社は、株主に配当金をたくさん支払う余裕があります。 また、利益を使って自社株買い(会社が自社の株を市場から買い戻すこと)を行うこともあります。自社株買いが行われると、一株あたりの価値が上がり、株価の上昇につながりやすくなります。 このように、ROEの高さは、配当や株価上昇といった、株主への直接的なリターンにも結びつきやすいのです。
【会計士の視点】ROEだけを見るのは危険!3つの注意点
ここまでROEの魅力をお伝えしてきましたが、私たちプロは、一つの指標だけで物事を判断しません。ROEは非常に便利な指標ですが、いくつか注意点もあります。これを知っているだけで、あなたの投資判断の精度は格段に上がります。
注意点1:借金の多さでROEが高く見えることがある
ROEの計算式をもう一度見てみましょう。 ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 この式の分母である「自己資本」が小さくなれば、計算上、ROEは高くなります。
例えば、会社が銀行からたくさん借金をして事業を行っている場合、株主からのお金(自己資本)は少なくても、大きな事業ができます。これを「レバレッジ(てこ)を効かせる」と言います。 少ない自己資本で大きな利益を上げられればROEは高くなりますが、その裏で多額の借金を抱えているかもしれません。財務が不健全な状態だと、景気が悪くなった時に経営が一気に傾いてしまうリスクがあります。
【チェックポイント】 財務の健全性を見る「自己資本比率」も合わせて確認しましょう。自己資本比率が高ければ、借金が少なく健全な会社だと言えます。
注意点2:業種によって平均値が大きく違う
ROEは、業種によって平均的な水準が異なります。
例えば、大規模な工場や店舗が必要な製造業や小売業は、事業を始めるためにたくさんの自己資本が必要になるため、ROEは低めになる傾向があります。 一方で、パソコン一つで事業ができるようなIT・情報サービス業は、大きな設備投資が不要なため自己資本が少なく済み、ROEは非常に高くなる傾向があります。
【チェックポイント】 投資したい会社のROEを見るときは、その数字単体で判断するのではなく、必ず同業のライバル会社と比較するようにしましょう。
注意点3:一時的な要因で数字が跳ね上がることがある
会社が持っている土地や建物を売却して、一時的に大きな利益(当期純利益)が出ることがあります。また、先ほど少し触れた「自社株買い」を行うと、自己資本が減少します。 これらの要因で、その年だけROEが異常に高く見えることがあります。
【チェックポイント】 過去3〜5年分のROEの推移を見て、その会社が安定的・継続的に高いROEを維持できているかを確認することが非常に重要です。
ROEの目安は「8%」!一つの基準として覚えておこう
では、実際にどれくらいのROEがあれば「優良」と言えるのでしょうか。 明確な基準はありませんが、一般的に投資家が一つの目安としているのは「8%〜10%」です。この水準を継続的に超えている会社は、資本効率が良く、株主のためにしっかり利益を生み出している優良企業だと評価されることが多いです。
ちなみに、「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェットは、ROEが15%以上の企業を好んで投資していたと言われています。
まずは「8%」という数字を一つの基準として覚えておき、気になる会社を見つけたら、その会社のROEがどのくらいの水準にあるのかをチェックする習慣をつけてみましょう。
まとめ:ROEを使いこなし、賢い投資家への第一歩を踏み出そう!
今回は、会社の「稼ぐ効率」を見抜くための最重要指標、ROEについて解説しました。
最後に、今日のポイントをおさらいしましょう。
- ROEとは「株主のお金を使ってどれだけ上手に利益を生んだか」を示す成績表
- ROEが高い会社は、経営が上手で、将来成長する可能性が高い
- 計算式は「当期純利益 ÷ 自己資本」。企業の決算情報を見れば誰でも計算・確認できる
- 目安は「8%」。同業他社と比較し、過去数年の推移を見るのがプロの視点
ROEは、企業の財務諸表に隠された「宝の地図」のようなものです。 これまで数字の羅列にしか見えなかった決算書も、ROEというメガネをかけて見ることで、その会社の本当の実力や魅力が見えてくるようになります。
証券会社のウェブサイトや、各企業が公開している「決算短信」などで、ROEは簡単に調べることができます。 ぜひ、あなたの気になるあの会社のROEをチェックしてみてください。
その小さな一歩が、あなたを「なんとなく」で投資する初心者から、根拠を持って投資判断ができる「賢い投資家」へと変えてくれるはずです。
口座開設はどこも無料ですので、まずは気軽にチェックして、自分にぴったりのパートナーを見つけてみてください!
よくある質問(Q&A)
ROEが高ければ高いほど、良い会社だと言えますか?
一概には言えません。ROEは負債(借入金)を増やすことでも上昇するため、高いROEが過剰な借金によるものである可能性があります。安全性を確認するためには、負債を含めた総資産で効率を見るROA(総資産利益率)も併せて確認し、両方のバランスを見ることが重要です 。
ROEとROAの違いがよく分かりません。どちらを見れば良いですか?
ROEは「株主のお金(自己資本)を使ってどれだけ儲けたか」という株主視点の指標です。一方、ROAは「会社の全財産(負債+自己資本)を使ってどれだけ儲けたか」という会社全体の経営効率を見る指標です。投資家はまずROEに注目しますが、その企業の財務的な健全性を見るためにはROAも確認する必要があります 。
企業のROEを改善するには、どのような方法がありますか?
ROEは「デュポン分解」という考え方で3つの要素に分解できます。①売上高利益率(収益性)、②総資産回転率(効率性)、③財務レバレッジ(負債の活用度)です。ROEを改善するには、これら3つのいずれかを向上させる必要があります。例えば、より高く売る、資産を効率的に使う、借入をうまく活用する、といった経営努力が求められます 。
数ある証券会社の中から、自信を持っておすすめできるものをいくつかご紹介しますね。口座開設はどこも無料ですので、まずは気軽にチェックして、自分にぴったりのパートナーを見つけてみてください。
楽天証券:楽天経済圏(SPU)とのシナジーは依然として強力です。投資信託の購入で楽天ポイントが貯まり、そのポイントを使ってさらに投資ができる「複利効果」を、ポイントの世界でも実現できます。2026年もポイント還元率の改定などが行われていますが、楽天ユーザーにとっては依然として最適解です。
松井証券:NISAのような長期投資において、保有コスト(信託報酬)と保有リターン(ポイント還元)の差は、20年後の資産額に大きな影響を与えます。松井証券の高還元率は、長期的なキャッシュフローを改善する上で非常に合理的です。「困ったら電話で聞ける」という安心感は、プライスレスな価値があります。
マネックス証券:資産運用の基本は「分散」です。日本の将来(円安リスク)に備えるため、資産の一部をドル建て(米国株など)で持つことは、「通貨分散」という観点で非常に重要です。マネックス証券は外国株の特定口座対応も万全で、面倒な外国税額控除の計算サポートも充実しています。世界経済の成長を取り込みたい方には、最適なパートナーとなるでしょう。
DMM.com証券:資産運用の基本は「分散」です。日本の将来(円安リスク)に備えるため、資産の一部をドル建て(米国株など)で持つことは、「通貨分散」という観点で非常に重要です。DMM 株なら、米国株も特定口座に完全対応しており、煩雑な国内課税の処理はお任せ。何より、米国株の取引手数料は0円からと業界最安水準を実現し、取引手数料の1%がポイント還元される独自のメリットも提供しています。さらに、保有する米国株を担保に国内株の信用取引を行うことで資金効率を最大化することも可能。1つのアプリで日米株をシームレスに管理し、コストを抑えて賢く世界経済の成長を取り込みたい方には、最適なパートナーとなるでしょう。