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税効果会計実務(5)連結税金税効果の基本!グループ通算制度の手順と実務を会計士が解説

Sato|元・大手監査法人公認会計士が教える会計実務!

Sato|公認会計士|
あずさ監査法人、税理士法人、上場会社経理、コンサルファームを経て独立。
IPO支援・M&A及び上場会社経理業務を専門とし、企業の成長を財務面からサポート。
このブログでは、実務に役立つ会計・税務・株式投資のノウハウを分かりやすく解説しています。
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こんな方におすすめ

  • 連結決算の担当になり、連結固有の税金合算や税効果処理を学びたい方
  • グループ通算制度の具体的な所得計算・損益通算・精算フローを知りたい方
  • 法人税等と地方税を区分して税効果を検討する実務上の理由を知りたい方

「連結決算の担当になったけれど、グループ各社の税金をどうまとめればいいの?」

「グループ通算制度を導入すると、連結上の仕訳や精算はどう変わる?」

こんにちは、公認会計士のSatoです。連結決算の現場では、個別決算の税金計算とは異なる「連結ならではの税金の実務」が求められます。

特に「連結税金税効果(連結上の法人税等と税効果会計)」の処理は、グループ通算制度の普及により、計算の手順や区分の考え方が非常に重要になっています。今回は、連結決算における税金の基本から、通算制度の具体的な手順、そして税効果を検討する際の「区分のルール」まで、初心者の方にも分かりやすく解説します!


1. 連結税金税効果とは?連結修正で税金が動く仕組み

連結決算では、親会社と子会社の財務諸表を単純に合算するだけでなく、グループ内の取引をキャンセル(消去)する作業を行います。この修正によって連結上の「利益」が変わるため、それに対応する「税金費用」も適切に調整しなければなりません。この一連の処理を「連結税金税効果」と呼びます。

ズレを調整する「連結税効果」

例えば、グループ内の売買で発生した利益を消去した場合、「利益は消えたのに、税金だけは各社で払っている」という状態になります。この「払いすぎた税金」を連結上の資産(繰延税金資産)として調整し、利益と税金のバランスを整えます(税効果会計に係る会計基準の適用指針第4項)。


2. 実務担当者必見!グループ通算制度の具体的な手順

2022年からスタートした「グループ通算制度」は、グループ全体で損益を融通し合う仕組みです。実務では以下のステップで進めます。

ステップ①:適用承認の申請(事前準備)

制度を始めるには、親会社と全子会社の連名による申請が必要です。

  • 期限: 適用開始事業年度の3ヶ月前までに提出(法人税法第64条の9第1項)。

ステップ②:各社の所得計算と「損益通算」

決算期には、まず各社が単体で所得(黒字か赤字か)を計算します。その後、グループ内の赤字と黒字を相殺します。これを「損益通算」と呼びます。

  • 実務: 親会社が全社の所得情報を集約し、通算後のグループ全体の税額を計算します(実務対応報告第42号第6項)。

ステップ③:「通算税効果額」の計算と精算(授受)

損益通算によって税金が減った会社は、赤字を提供してくれた会社へその節税分のお金を支払います。

  • 精算: このやり取りを「通算税効果額の授受」と呼び、個別決算では「未収入金」や「未払金」などの科目で管理します(実務対応報告第42号第43項)。

ステップ④:各社による「個別申告」

連結納税とは異なり、通算制度では各社がそれぞれ申告書を提出し、納税を行います。


3. 要注意!グループ通算から「除外される税金」の範囲

「グループ通算」という名前ですが、すべての税金が通算(相殺)されるわけではありません。ここが実務上の落とし穴です。

通算されるのは「法人税」と「地方法人税」のみ

グループ通算制度の対象は、国税である法人税と地方法人税に限定されています。

  • 対象外となる税金: 住民税(法人住民税)、事業税(法人事業税)

地方税は通算制度の対象外であるため、通算グループ内の他社の赤字と自分の会社の黒字を相殺して住民税や事業税を直接減らすことはできません(実務対応報告第42号第8項)。


4. 税効果会計のポイント:税金の種類ごとに「区分」して検討する

グループ通算制度を適用する場合、税効果会計の実務では「税金の種類ごとの区分」が非常に重要になります。

法人税等と地方税を分けて考える

実務対応報告第42号では、「法人税及び地方法人税」と、通算制度の対象外である「住民税及び事業税」を区別して税効果会計を適用することを求めています。

  1. 計算の区分: 繰延税金資産(DTA)の回収可能性の判断や、計算に用いる税率の算定は、これら税金の種類ごとに行う必要があります(実務対応報告第42号第9項)。
  2. 住民税の注意点: 住民税(法人税割)は、グループ通算適用後の法人税額を元に計算されるため、通算制度の影響を考慮した上で資産性を判断します(実務対応報告第42号第8項)。

このように、一括りに「税金」とせず、国税(通算対象)と地方税(通算対象外)で二段構えの検討を行うのが連結税金実務のポイントです。


5. 在庫の未実現利益消去:連結修正仕訳の実務例

実務で最も頻繁に登場する「在庫の未実現利益消去」を、数字を使って見てみましょう。

【設例】

  • 親会社が子会社へ販売した商品の利益:200円
  • 親会社の法定実効税率:30.6%

1. 連結修正仕訳(利益のキャンセル)

借方科目金額貸方科目金額
売上原価200商品200

2. 連結税金税効果の仕訳

利益を消去したことで払いすぎている税金(200 × 30.6% = 61.2円)を調整します(税効果会計に係る会計基準の適用指針第34項)。

借方科目金額貸方科目金額
繰延税金資産61法人税等調整額61

6. まとめ:2025年度の連結実務チェックリスト

連結決算担当者が押さえておくべき実務のステップです。

  • グループ通算制度の適用承認や届出が完了しているか再確認する
  • 各社の「通算税効果額」の授受(精算)ルールを明確にする
  • 法人税等と地方税を区分して、それぞれの税効果を検討する(第9項)
  • 住民税・事業税については通算制度の対象外(単体計算)であることを徹底する

連結税金税効果は複雑ですが、手順を一つずつ正確に踏むことで、信頼性の高い決算が可能になります。仕組みを理解して、自信を持って実務を進めていきましょう!

sato
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次回は、2024年から始まった「グローバル・ミニマム課税(GMT)」どこから手をつければいいのか?について解説します!

税効果会計実務(6)グローバルミニマム課税の実務を公認会計士がやさしく解説

よくある質問(Q&A)

グループ通算制度での「通算税効果額」は損益計算書のどこに表示しますか?

個別決算では「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示します(実務対応報告第42号第7項、第43項)。

なぜ地方税はグループ通算の対象外なのですか?

地方税法には法人税法のようなグループ通算(損益通算)の規定がないため、引き続き各社がそれぞれの利益に基づいて計算を行う「単体納税」の形をとるからです。

未実現利益の消去で使う税率は、親と子どっちのものですか?

原則として「利益を計上した会社(売主)」の税率を使用します(税効果適用指針第34項)。

100%グループ間の固定資産譲渡でも税効果は必要ですか?

グループ法人税制により税務上も利益が繰り延べられる場合、会計上の消去と一致するため、連結税効果(一時差異)が生じないことがあります(法人税法第61条の11)。

2025年度から変わる税率はありますか?

防衛特別法人税や外形標準課税の改正により、将来の「法定実効税率」が変動する可能性があります。決算日時点での最新法令を確認し、必要に応じて税率を更新してください。


sato
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専門家としての経験に基づき、現場で本当に『武器』になった数冊を厳選しました。理論だけで終わらない、実践に裏打ちされた知恵を求める方の参考になれば幸いです。


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