6.その他

取締役会の議題に関する資料に書式や決まりについて

企業のステージの成長やIPO準備において、取締役会や取締役会の議事録の作成について少し迷うところがあると思いますので解説いたします。

取締役会について最低限知っておいて頂きたい会社法上の決まり

① 取締役会の設置義務会社
会社法327 条において、取締役会の設置義務がある会社は、下記に限定されています(会社の定款に記載があります)。
・公開会社(上場会社)
・監査役会設置会社
・監査当委員会設置会社
・指名委員会等設置会社


② 取締役会の決議事項(取締役会の「決議事項」)
会社法362 条4 項で、取締役会の「決議事項(会社法で決められている取締役会が決議すべき事項)」が、下記のとおり定められています。
✓ 重要な財産の処分および譲受け
✓ 多額の借財(借金や融資)
✓ 支配人その他の重要な使用人の選任および解任
✓ 支店その他の重要な組織の設置、変更および廃止
✓ 第676 条に掲げる事項(募集社債に関する事項)その他の社債を引き受ける者の募集社債に関して法令に定められた重要な事項
✓ 取締役の職務執行や会社の業務執行などが適正であることを確保するために、法令によって定められた体制の整備
✓ 定款の定めに基づく役員などの会社に対する責任の免除


③ 取締役会の開催義務(取締役会の「報告事項」)
会社法363 条2 項で、取締役会は最低3 か月に1 回、年に4 回以上の頻度で開催し、代表取締役や取締役は自己の職務執行状況を取締役会に報告しなければいけないと定められています。


④ 取締役会の招集通知(取締役会の「議題」の送付)
会社法368 条で、取締役会を開催するには、原則として開催日の1 週間前までに、取締役がメールや電話などで招集通知を送付する旨定められています。


⑤ 取締役会議事録作成義務
会社法371 条1 項において、書面又は電子(PDF 等)での作成(取締役、監査役の署名又は記名押印)、保存が義務付けられている法定文書です。


⑥ 取締役会議事録に記載すべき事項(詳細は、会社法施行規則101 条3 項4 号)
取締役会議事録には、以下の情報を記載すべきことが求められております。
✓ 開催日時
✓ 開催場所
✓ 出席者(取締役、監査役、執行役、会計参与、会計監査人、株主、特別利害取締役)
✓ 議長(多くの会社では定款で代表取締役が取締役会の議長とすると定められております)
✓ 議事の経過の要領(すべてのやり取りではなく要領で足りる)・結果
・開会と閉会の宣言
・取締役会への報告事項
・取締役会の決議事項とその結果(上記②の事項)

取締役会の議題に関する説明資料や書式に決まりはございません。取締役会の議題が分かりやすく説明できるものであれば、書式・形式は問われません。
また、取締役会議事録に「法律で必ず書かなければならない項目」につきましては、「上記⑥」の記載をご参照ください。

取締役会を開催する際に必要な書類は、議題に関する資料と議事録のみか?

取締役会を開催する際に必要な資料は、下記の3 点になります(会社法に明確に従った場合、開催通知書も必要となります)。
① 取締役会開催通知書(事前に議題について通知する書面)
② 取締役会添付資料(議題の説明資料)
③ 取締役会議事録

なお、議題に関する資料は必須ではありません。説明を受ける取締役が議題を理解でき判断ができるのであれば、資料を用いず口頭で伝えて、議題の結果を議事録に記載しておくということで問題ございません。

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