4.税務

令和4年度税制改正大綱 個人所得課税 住宅ローン減税

2022年度(令和4年度)の税制改正大綱が発表され、住宅ローン減税(控除)が大きく変わる予定となりました。
今回の改正では、住宅ローン減税の控除率を現行の1%から0.7%に引き下げるとともに、適用対象者の所得要件を合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引下げとなり、実質的に増税の改正となるようです。

多くの方の注目が集まる「住宅ローン減税」について、改正の概要について解説致します。

2022年度住宅ローン減税改正の概要

  • 2021年度までは1%であった住宅ローン減税の控除率が、2022年度から0.7%に縮小
  • 控除期間13年は据え置き
  • 一般住宅の借入限度額が4,000万円から、2023年末入居まで3,000万円、2025年末入居まで2,000万円に引き下げ
  • 適用対象者の所得要件を合計所得金額3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げ
  • 所得税額から控除しきれない場合の住民税控除額を、年間最高13.65万円から年間最高9.75万円に引き下げ

控除率の減少は、会計検査院の指摘により、住宅ローンの支払金利を税額控除額が上回るいわゆる「逆ザヤ」の状態が生じていたことから改正がなされたものですが、2021年12月時点で変動金利が0.2%∼0.4%のローン商品を取り扱っている金融機関があることから、「逆ザヤ」が完全に解消されたという事にはならないともいえます。

なお、控除額は納税者1人ごとに適用されることから、今後は、共働き世帯におけるペアローンの利用がさらに増加する可能性みこまれます。

省エネ性能の高い認定住宅等には一般住宅比で借入限度額の上乗せ措置が

一方で、省エネ性能の高い認定住宅等には一般住宅比で借入限度額の上乗せ措置がなされることとなりました。
例えば、「認定住宅(長期優良住宅や低炭素住宅に認定されたもの)」については、2023年末入居まで5,000万円、2025年末入居まで4,500万円借入限度額の上乗せ措置がなされております。

政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指し、脱炭素に力を入れていることが反映されているものと考えられます。

中古住宅の建築年数要件の廃止

これまでは、住宅ローン減税を受けるための中古住宅の築年数要件として、「木造住宅は築20年以内、耐火構造(いわゆる鉄筋コンクリート造りのマンション)は築25年以内」といった要件がりましたが、この築年数要件が廃止され「登記簿上の建築日付で1982年(昭和57年)1月1日以降の住宅」(いわゆる新耐震基準適合住宅)といった条件が加わることになりました。

これまで、築20年超の中古一戸建て、もしくは築25年超の中古マンションの場合、耐震基準適合証明書・既存住宅性能評価書のいずれかの書類がなければ住宅ローン減税の対象となりませんでしたが、2022年度からは書類による証明なしで住宅ローン減税の対象となります。

まとめ

2022年度(令和4年度)の改正の背景には、中間層による良質な住宅の取得の促進による住宅投資の喚起を通じて、新型コロナで落ち込んだ経済の回復を図るとともに、環境性能等の優れた住宅の普及拡大を推進しようとする政府の目的があります。
2050年を目標とする「カーボンニュートラル」の実現のためにも、省エネ性能の高い認定住宅等への減税の動きが見えることから、省エネ性能の高い認定住宅等への関心が今後高まってくるのではないでしょうか。

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